教員免許更新制について思うこと
今、教員免許更新制や研修の制度について、見直しが行われているようですね。
私は、ある日いつものようにスマホを見ていたら「教員免許更新制廃止へ」というニュースが目に入り、このことを知りました。
その時は驚きだったり、「やっぱりな」と思ったり、「なんで今!?」と悲しくなったり…複雑な気持ちになりました。
というのも、私は元々この制度に必要性を感じていなかったのと、まさにその時自分が更新のための講習を受けていたからです。(免許状の期限はまだしばらくありますが、期限が切れる約2年前から受講することができるので、どうせやるなら早めにと、今年度早々に受けていました。)
なので今回は、実際に講習を受けてみて感じたことや、この制度について思うことなどをお話していきたいと思います。ちなみに、現在はすべての講習を受講し、更新の手続きも終了しています。
教員免許更新制のしくみ
目的は?
そもそもこの制度は、自民党が「不適格教員の排除」を目的として導入を求め、その後「教員の資質確保」という目的に変えて始まったそうです。
そして現在文部科学省のホームページには、目的について次のように書かれています。
いつ、何をするの?
この教員免許更新制は10年ごとに免許の更新をするのですが、具体的には、次のようなことを行います。
・30時間以上の講習を受ける
(1講習6時間×5講習)
・講習ごとに試験を受ける
・教育委員会で更新手続きを行う。
そして、免許状の期限が切れる2年2ヵ月前から講習を受けることが出来ます。
講習受講資格
この制度により、10年ごとに更新をしなければならないのですが、教員免許を持っている人全員が受けられるわけではありません。
このことについても、文部科学省のホームページには次のように書かれています。
つまり資格を取得しただけで、実際に教員として働いたことがないまま10年以上経ってしまった場合は、受けることが出来ません。
また、過去に教員として経験があれば受講できますが、その場合、雇用していた人からの証明書が必要になります。(主に幼稚園は園長先生、学校は校長先生になると思います)
もし仮に、円満退職ではなかったり何か事情があったりで、雇用者と連絡が取れない場合は、証明書がないので受講することが出来ません。
新たに内定をもらっていれば受講できますが、内定を受けてから実際に働き始めるまでの間に、30時間以上の講習と試験、更新手続きを行わなければいけないので、結構大変ですよね。
実際に更新してみて・・・
次は、私が実際に更新をしてみてどうだったのか、書いていきたいと思います。
どこで講習を受けるのか
講習を受ける場所は、主に大学またはeラーニング講習になります。
大学の場合、あらかじめ予約をして、直接大学に行って講習と試験を受けます。
1講習6時間なので、これを5回分行うことになります。
おそらく、大学で受ける先生が多いのかなと思いますが、日付が指定されているのと、一回の講習で6時間+往復の移動時間も含めてほぼ1日かかるので、子育て中の私には、難しいなと思いました。
一方eラーニング講習は、パソコンやwebカメラなどの環境があれば、自宅で講習を受けることが出来ます。
なので、私は迷わずeラーニング講習を選びました。
また、eラーニング講習にもいくつかの主催場所があります。
私は、24時間いつでも好きな時間に、講習から試験まで自宅で受けられる「才能開発教育研究財団」にしました。
費用は?
そして、講習を受けるには受講費がかかります。
実際に私が更新を受けるのにかかった費用は、4万円弱でした。
(1講習6600円×5講習と更新手続きに必要な収入証紙代です)
結構かかりますね…。
私には家庭があるので、夫にも「幼稚園免許の更新のために4万円くらいかかるんだけど…」と相談しました。
すると夫は「良いよ、更新しないと幼稚園で仕事が出来なくなるんでしょ。だったらしたほうが良いよ」と言ってくれました。
もしここで「そんなお金はない」などと言われていたら、今私は幼稚園教諭を続けてられなかったかもしれません。
まぁ、資格のいらない保育補助とかなら出来なくはないですけど、担任を持つことは出来なくなってしまいますね…
いつ受けるのか
eラーニング講習で受けると決めたのですが、実際、子育てしながら仕事もしているので、講習の時間を作るのが大変でした。
自宅で出来るとはいえ試験もあるし、講習を受けながらノートも取らないといけないので、子どもたちが寝てから受けていました。
それでも、次女が時々泣いて起きたりもしていたので、途中で何度か中断しながら、毎日少しずつ進め、なんとか講習と試験を終わらせました。
講習の内容は?
さて、無理やり時間を作ってなんとか終わらせた講習でしたが、そこまでして受ける必要があるほどの内容だったかというと、そうではありませんでした。
中には参考になるものもありましたが、実際に保育現場で実践するには、非現実的すぎるのでは?と思う内容も多かったです。
正直、この内容の講習に約4万もかけるのなら、自分で保育の参考書を買うなりして勉強したほうが良いなと思いました。
講習によっては、テキストが送られてくるものもありますが、ほとんどそのテキストに書いてあることを読んでいるだけ…というものもあって、ガッカリしました。
試験の難易度
試験は、各講習ごとに、選択式と記述式(小論文)がありました。
選択式は、講習をきちんと聞いていれば答えられる問題ばかりですが、割合などの具体的な数字を答えさせるような問題もあったので、ノートを取っておかないと 分からないなというものもありました。
記述式は、800~1000字程度で小論文を書くというものでしたが、字数を守ってよっぽど的外れなことを書いていなければ、不合格になることはほとんどないと思います。
こんな感じで、基本的には免許を更新するためのものなので、しっかり講習を受けていれば合格できますし、最初の方で言ったような「不適格な教員を排除」することは、この制度では出来ないと思います。
結局、やる意味はあるのか
実際に更新してみて、子育てと仕事をしながら講習を受けるのは、想像以上に大変でした。
今回この制度を見直している理由の1つに「現場の教員の負担が大きい」と挙げられています。
幼稚園や学校の先生たちは、日々とっても忙しいですし、時間のない中なんとか更新してる人も多いでしょう。
また、更新の時期は自分で覚えている必要があります。
運転免許証のように、更新のお知らせが来るわけでもないですし、職場で教えてくれることもありませんでした。
なので、中にはうっかり更新を忘れて、免許を失効してしまう先生もいるようです。
そうなると、更新手続きが終わるまで教壇に立てなくなってしまうので、現場にも迷惑がかかり大変ですよね。
そしてなにより、無理やり時間を作って自腹で受講するほどの内容ではなかったので、やはり私は、この制度に必要性を全く感じません。
勉強は必要
ただ、教員免許更新制が今後どうなるのかまだ分かりませんが、資格を取っておしまい!ではなく、知識技能の向上のため勉強を続けるのは大切です。
ただ廃止する!のではなく、研修制度が、本当に必要で充実したものになることを願っています。
私も、より良い保育のため、日々勉強を頑張ります。
最後までお読みいただきありがとうございました。